はちのすけのにっき。

都内勤務の社会人による雑多なブログです。既婚!

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ハウツーよ、そこをどけ。『笹の舟で海を渡る』を読んだ。

久しぶりに短期間で小説を読んだ。

こんにちは。僕はもともと小説が好きで、小学生の頃から本は常に身近なものでした。中高時代は電車での通学時間を読書にあてる習慣があり、週6で部活をやっていた割にはそれなりの冊数を読んでいました。

ところで、僕にとって、本を読む行為は2つにわけられます。「趣味としての読書」と「学習としての読書」です。中高時代はほとんどが「趣味として読書」していて、存分に本の世界を味わっていたように感じます。

一方で大学時代の後半は、「趣味としての読書」をおろそかにしてきてしまったと感じています。就活を意識したり、大二病を発症したり(自己啓発本を読んでいる俺、かっけー)する中で、「学習としての読書」を必要以上に重要視して、「趣味としての読書」の楽しさを忘れてしまっていました。

「趣味としての読書」の楽しさを久しぶりに思い出させてくれたのが「笹の舟で海を渡る』です。この本の舞台は、戦中・戦後の日本です。幼少時代に戦争を経験した一人の女性が、結婚し、家庭を持ち、年老いていく姿が多様な人物との関わりの中で描かれています。主人公の女性は、いわゆる平凡な女性で、多くの悩みを抱えています。戦中の思い出したくない記憶のこと、娘とうまく関係性が築けないこと、息子の性的嗜好が理解できないこと、人気者の義妹のこと...。様々な悩みを抱える主人公は、思い切って誤った行動をとったかと思えば、優柔不断で煮え切らない態度も示す。お世辞にも、心の底から応援できたり、共感できたりするタイプの人物ではありません。でも、だからこそ、なぜか本を読み進める手は止まりません。

本を読み終わった後も、圧倒的な満足感があるわけでもなければ、壮大な謎がとけた爽快感があるわけでもありません。「この本を読んで、人生が変わった」と思えることもありません。ただ、そんな陳腐な表現では表せない深みがあります。そして、HOW TO など1つも書かれていない本を読む「趣味としての読書」はやっぱり辞められないなと、この本を読んで思いました。

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